TAD 試聴会2019728

当店でもTADの世界最小同軸ユニットが奏でる独創的な音色が好評を得て、店頭展示のTAD-ME1が順調に販売実績を重ねてきておりますが、その上位機種であるTAD-E1TXが昨年末に販売され、あらためてその良さを確認すべく試聴会をさせて頂きました。

SACD/CDプレーヤーにD1000MK2と、パワーアンプM1000とM2500MK2をご用意。プリアンプを使わずにプレーヤー直結の音色とプリアンプ(OCTAVE HP300SE)を通した音との比較や、ME1との比較、さらには今回発売されたばかりのTADのバランスケーブルの試聴など、TADの魅力をさらに掘り下げた内容となりました。

今回もTADの川村氏にお越しいただき、作り手からの目線での技術的な内容を盛り込み濃密なお話が聴けました。

最近の天気予報はあてにならないのか、前の日の予報とは違い梅雨が明けたかのような青空が広がり、とても暑い一日となりました。有難い事にお客様も終日お店の中が埋まってしまう試聴会に、こちらもまさに熱い内容となりました。

TAD-E1TXはME1で使用されたユニットと同じものを使用し、ダブルウーファーにすることで能率もアップされており、エンクロージャーの容量が大きい分、音質改善に細かな配慮が加えられております。


川村氏の様々な説明をすべてお伝えするのは難しいですが、最近のスピーカーはバッフル面に介在する様々な歪を極力少なくする為にいろんな対策がなされているようで、このE1TXも事にもれず、 3度バッフル面を傾け、同軸ユニットとウーファーのタイムアライメントを調整し音声表現の正確性を向上させたり、バッフルにラウンド面を作ることにより、全面に押し出された音からのエンクロージャーへの影響を極力排除しております。

又、底面にネットワークが収まる別室を設けることにより振動がネットワークに影響する部分を排除しております。特にコンデンサは影響が受けやすく、その仕組みなど細かなことにも言及されておりました。

特徴の一つである両サイドのバスレフポートも、開発の最初に上下左右に排気されるよう設計したようですが、どうも低域の質感がイマイチで、JAZZなどでのアタック音が”バフバフ”となってしまい、形状をホーン型にして前後に排気することで、低域の締まりと音場の豊かさを出るようにE1TXに合わせた細かな調整をしております。又ポート部をカバーする素材は鉄製で、薄くても振動対策ができて音質的にも一番合うそうです。

認知度はまだまだこれからですが、TIGLONとの共同開発でTADブランドのケーブルもSPケーブルに続き、ラインケーブルも発売し、先日のミュンヘンで開催されたオーディオショウでは人気のあまり、手持ちの在庫が底を尽き目下製作中だそうです。

当日、アコーステックリバイブのXLR-1.5TripleC-FMと聴き比べも行いましたが、中低域に厚みのある落ち着いた音色でTADが目指す音場の広がりと中低域の落ち着いた鳴り方にうまく合わせたケーブルでした。 好みにもよりますが適度に締まりのあるしっかりした音色が好きな方にもお勧めです。

最後にME1との比較試聴も行いましたが、再生の幅やS/N感はE1TXには劣るものの、音の纏まりの良さや程よい音場感は上位機種に迫る完成度で、改めてME1の良さも再認識し、TADの音作りの神髄を実感した限りです。

最近は情報量の高いスピーカーは当たり前となりつつありますが、その中にも音場空間や音質を求める方が増えているようです。B&Wでは正確すぎる音でつまらないが、JBLだと主張が強すぎると感じてる方は、その中間に位置するTADはおすすめです。同軸の音、癖になるかも?

 

2019/7/28 菊地