Phasemation 店内試聴会

今回はアナログレコード再生の魅力を存分に体感して頂くべく、フェーズメーションの試聴会を開催致しました。フェーズメーションは横浜に本拠地を置くカーエレクトロニクス事業を主にされている協同エンジニアリング株式会社の言わばハイエンドオーディオブランドで、自社が考える実在感のあるステージの再現性、奏者の情念までも伝わるような真のステレオ再生を目指した音作りを信念に、日々オーディオ製品の開発を続けています。
  最近は若い方などレコード再生を一からはじめる方や、装置を納屋から引っ張り出して又レコードを聴きはじめた方など、アナログレコードの魅力が再認識されてきております。確かに扱いは面倒くさいですが、レコード本来の厚みのある人の心に沁みるやさしい音質はいつの時代も通じる音を楽しむ魅力がぎっしり詰まっております。
  現在レコードを取り巻く装置の環境も変化し、カートリッジひとつとっても針先の加工技術の向上や線材や筐体の変化、フォノアンプの分離化、プレーヤー全体のS/Nの向上などなど、レコード自体は変わらないのに再生される情報量は昔よりはるかに多くなっています。こんな音入ってたっけ?と40年前に購入したレコードを最新装置でかけて驚く光景は当店でも結構多いですよ。

当日2回に分けて、フェーズメーション開発部長の斉藤氏を迎えてレコード再生についての話や、製品開発秘話など開発部長ならではのさまざまな視点からフェーズメイションの魅力を語って頂きました。

元々アーム内部の配線構造はバランス型ですが何故かRCAのピンのアンバランスで対応しているフォノイコライザーが一般的でしたが、最近バランス伝送をするメーカーも徐々に増え、フェーズメーションもフォノ信号のバランス伝送を推奨しており、上位機種のフォノアンプとT-500のMCトランスに入力を用意されています。
  実際にレコードプレーヤーからT-500へバランスでつなぎ、EA-300、EA-500、EA-1000との音の違いを確認して頂きました。
  明らかに音のセパレーションや情報量が増え、雑味の感じないアナログの自然な音色が広がり、来店しているお客様も”うん、うん”と首を縦にふり、納得の様子でした。他メーカーのフォノイコをご使用の方も、バランスフォノケーブルとMCトランスのT-500があればバランス伝送化がすぐ出来ます。
  斉藤さんは試聴会で全国行脚をされていて、ミュージックバードにも招かれるなど、技術者の枠を越え営業並みに活躍されており、ご自身でもレコード集めが趣味のようで、持ち込んだ試聴用の自前のレコードはTIME OUTのオリジナルや中古でも高額取引されているものなどジャンル問わず試聴する盤選がすばらしく、お客様も”「あの森山良子探すかな〜」”と言ってる方もいらっしゃいました。

斉藤さんのコレクションの中にノイズが多い為1万円で買ったと仰ってたSonnyRollinsのSsaxophoneColossusオリジナル盤をステレオのカートリッジPP-2000とモノラルカートリッジPP-MONOとの比較試聴も行いました。
  焚き火のような強烈なノイズでしたが、モノラル盤をモノラルカートリッジ で鳴らしたときの厚みがあり実像感のある音色はモノラルを聴いた事がないという方には一度体感されたほうがいいでしょう。
 
  今回持ち込んだアンプはフェーズメーションのハイエンド機CA-1000のコントロールアンプと、ブスバン300Bをパラシングル動作したモノラルパワーアンプMA-2000を使用。出来合いのトランスが多いそうで色々組み合わせ可能なルンダールのトランスを独自に構成し最大限に真空管の魅力を引き出しております。
  真空管らしからぬ非常にS/Nの高い印象で2A3のトランス結合のせいか、中低域もしっかりとし鮮度の高い魅力的な音でした。
 
  今回アナログに特化した試聴会でしたので来店数は正直期待はしていませんでしたが、実際はお客様の入りが良く、出てくる音にも満足頂いたようで、アナログレコードの再生の更なる可能性を十二分に感じて頂けたのではと思います。良いレコード盤を持っていても貧弱な装置ではレコードの魅力が引き出せずもったいないので是非この機会にレコード再生に関する細かなところを見直してみては如何でしょうか?

H29 7/23 菊地