202410DSAUDIO 試聴会

当店でもおなじみとなっております「光カートリッジ」イベント。はやくも第4弾!

弾の文字が間違えていることに今気づきました(笑)→

「光カートリッジ」という言葉が有名になればなるほど、アナログレコードを

デジタルで再生する技術と思われる方が多くなっていく事実。

今回も「光カートリッジとは?」からやっていきますよ

←の写真は針先の接写ではなく今回持ってきて頂いた拡大模型。(針先が上を向いている状態)

見た目は普通の磁気型カートリッジと同じような造りで、

デジタル回路ではなくフルアナログ回路です。

 

磁気型のカートリッジの場合、カンチレバーが背負っているのは磁石やコイルですが、

光カートリッジが背負っているものは100ミクロンの遮光版のみという事で、

 

1.まず重量が軽い

2.磁界が発生しないので磁力の抵抗を受けない

 

よって「針先が動きやすい」

という特徴があげられます。

光カートリッジの詳しい構造の説明もして頂いておりますが、繰り返しになりますので

こちらのレポートでは割愛させて頂きますね。

気になる方は是非過去のイベントレポートも覗いて頂けると嬉しいです。

 

まずは今回リニューアルされた入門機種の前世代「E1」と新世代「E3」の聴き比べ。

アルミニウムカンチレバーに楕円針は共通ですが、

E1は内蔵しているLEDが1つ

E3はなんと3つ使用されています。

 

これにより左右それぞれに対して光源が一番良い位置に置ける。

されに左右それぞれが明るさをより受けられるようになるので発電量が大きくなりS/Nが

良くなったという事でした。

他にも遮光版の材質もより軽いベリリウムに変更され表現力が上がったとの事!

 

このベリリウム素材に辿り着くまでの開発秘話などを直接聞くことができるのは

イベントならでは。小川も特に楽しんでおります(笑)

 

さて、音は「E3」になり左右の広がり感が”ものすごく!”広がり、音場のスケール感が

とにかく違う!(広くなった)

これは大袈裟ではなく、音を出した瞬間、参加者の方々が一斉に仰け反る程の変化量でした!

そう、新しくなったのはカートリッジだけではありません。

次はフォノイコライザーを「E1」から「E3」へ

 

実はトランスの大きさ等、基本的な構造は変わらないようですが

グランドラインの明確化とパーツの再選定をしたことにより、音がみずみずしく滑らかさが出て

よりアナログらしい鳴り方になった印象です。

 

クラシックを鳴らしても、オーケストラの演奏者一人一人が何をしているか?

という所までがより明確に表現できるようになったと感じるのです。

ここで話しは「何故磁気型カートリッジ用のフォノイコライザーが流用できないのか」

 

まずひとつは、「カートリッジに電源を供給する必要がある」

とても分かりやすいです。

 

そして実はもうひとつの理由がもっと重要で

磁気型カートリッジの発電方法は「速度比例型」 に対して

光電型カートリッジの発電方法は「振幅比例型」にて発電している為、

「フォノイコライザーのイコライジングに関するカーブの形が全く違う」

エェ・・・文章で説明するととても分かりずらいですね・・・

 

フォノイコライザーでの増幅量に関して、磁気型の場合はおおよそ100倍とかの増幅が

必要なのに対して、光電型の場合は3倍ほどで済む。という事です。

 

ちなみに、逆にいうと光電型のデメリットとしては「低域の感度が良すぎる」

という事が出てくるので、フォノイコライザー側で低域の減衰カーブを選べる

設定になっているのです。

 

今回は光発電からの音の検出方法も詳しく説明頂き、難しい内容ながら非常に

分かりやすく説明されており、参加者の方々が深く深く頷きながら聞いていたのが

印象に残っています。

ここでさらにチラッと光カートリッジの将来性について

技術的な観点から、光カートリッジ自体は40年程の歴史がありますが

昨今省エネルギーで熱の出ないLEDが使えるようになりました。

光をうけて発電する素子(フォトディテクタ)も新しい素材が発明されて

より効率的な発電ができるようになりました。

 

これらの部品は現在もスマートフォン等にも使われており、この先もまだまだ

技術的進歩が期待出来ます。

 

オーディオ業界だけでなく他の業界の技術も巻き込みながら進歩していける

という事はその進歩のエネルギーはとても大きなものになる可能性があるという

事になるんですね。とてもワクワクするお話しでした。

さて今度は「E3」から「003」へ

針先は楕円針からラインコンタクトへ、フォノイコライザーはより強力な電源を搭載する

ことになります。

 

例えば、イギリスのオーディオ雑誌では「価格の3倍の音がする」と絶賛された「E3」から

どのくらい良くなるのか?

 

実はこの「003」からが光カートリッジの本領発揮!と言っても良いかもしれない・・・

情報量がさらに上がり・・・というか想像以上に上がりました!

音の密度が上がり安定感もでるので聴いていて本当にストレスが無い事に気づくのです。

そして畳みかけるように「003」から「W3」へ。

アルミカンチレバーからボロンカンチレバーへ変わります。

 

低域の沈み込みがさらに深く音の輪郭がより明確に表現されるように感じます。

音の響きのその最後の最後までがちゃんと出てくる!

 

参加されている方々も、もう目を閉じて音の気持ちよさにどっぷりと使っている

様子。演奏が終わると「ふぅ〜」とため息が漏れる様子が音の気持ちよさを

物語っています。

 

 

そしてここで他社製のフォノイコライザーにするとどうなるのか?

最近では光カートリッジ用のフォノイコライザーも増えてきましたが

その先駆けとなったEMMラボのフォノイコライザーにすると、

DSAUDIOフォノイコライザーとはニュアンスの違う滑らかで落ち着いた

音色が魅力と思います。

こうなってくると、他メーカーのフォノイコライザーを使用した時の

音がますます気になってきますね

最後におまけで偏心スタビライザーについても少し・・・

コレ、未だにレコードの偏心を計測することが出来るのはこの商品だけ。

ということもあり、特に初めて見た方を中心に偏心がある状態の音と偏心の無い状態の

音の違いに非常に驚いていらっしゃいました。

毎回、皆様の反応の良さが楽しみになってきております(笑)

 

偏心があるとどうなるのか?というのは以前ののイベントレポートにも書きましたので

是非以前のレポートもご覧頂きたいと思います。

 

 

光カートリッジのイベントも4回目ということですが、小規模のイベントということで

今回も初めて光カートリッジがどういうものか?という事を知った方が多かったです。

もちろん大規模なイベントを開催すればそれだけ知って頂ける方も多くなるとは

思うのですが、やはりこの小規模ならではの楽しみ方が

「楽しみながら少しだけオーディオに詳しくなる」という体験として良い効果が出ている

実感があります。

 

今回も雑談のなかで青柳社長の、「光カートリッジを知ったきっかけ」などは

青柳社長が光カートリッジを作る運命を背負って生まれてきたとしか思えない

内容で驚きましたが、こんな雑談ができる距離感も当店ならではと思うのです。

 

2024/10/20 AUDIO SHOP KEIKI 小川